歯の健康Q&A

虫歯について

Q

虫歯はどうしてできるのですか?

A
虫歯の原因は口の中にいる細菌。連鎖球菌・乳酸桿菌・放線菌などさまざまな種類がありますが、よく知られているのが「ミュータンス菌」です。正式にはストレプトコッカス・ミュータンスと言います。
歯の表面に付着した白いものをプラーク(歯垢)と言いますが、これは細菌の塊です。わずか1ミリグラムのプラークの中に1億匹以上もの細菌が存在しており、これらの細菌は、食べかすの中の糖質を栄養として生きています。
そして細菌が糖質を分解する時に酸を出し、この酸が歯の表面のエナメル質を溶かしてしまい、歯の中に細菌が入り込んでしまった状態が虫歯です。
Q

虫歯の治療はどのようなものですか?

A
虫歯は風邪や腹痛と違い、いつのまにか治ってしまうということは期待できません。虫歯の治療方法は虫歯の進行程度によって違います。
歯の一番外側のエナメル質が破壊されることを脱灰(だっかい)といいます。そのときには歯の表面が白く濁ってきます。この時点で気付けば、フッ化物を塗って歯を強化することで、虫歯の進行を止めることができます。
しかしエナメル質より軟らかい象牙質が侵されると破壊は急速に進行します。そうなると、治療は歯を削って細菌に感染した部分を取り除かなければいけません。削った所には人工物(金属やプラスチックなど)を詰め、再感染の防止と機能の回復をします。
さらに虫歯が進行すると歯の中の神経にまで細菌感染が広がり、ひどい痛みが出ます。ここまで進行してしまうと、神経を除去する必要があります。
Q

虫歯はどうやって予防できるのですか?

A

カイスという研究者は、虫歯の原因となる3つの要素をあげました。

1. 虫歯を作る細菌
2. 細菌の栄養となる養分、特に糖質
3. 歯の質、唾液の質

これらのバランスがおかしくなると、虫歯になる恐れがあります。そのため虫歯を予防するには、次の2つの方法を行います。

  •  1  お口の環境を改善する方法(細菌を減らす、細菌の栄養を減らす)
    一番大切なのは毎日のはみがき。さらに、落としにくい汚れを取り除く歯科医院でのクリーニング(PMTC)も重要です。
    その他にも細菌を増やさないため、食生活の改善が大切となります。特に気をつけたいものが、だらだらといつも食べ続けている状態。食べ物がいつまでもお口の中に入っていると、それだけ虫歯になりやすいといわれています。
  •  2  歯の質を強化する
    最も手軽に強化する方法は、歯磨き粉の成分に「フッ化物」が入っているものを選ぶことです。エネメル質を強化してくれる効果を期待できます。
    また、歯科医院でフッ化物を歯の表面にコーティングするという方法もあります。
    ※予防方法は効果に個人差が出やすいため、歯科医師のアドバイスを受けることをおすすめします。
Q

キシリトールって効果があるの?

A
キシリトールという代用甘味料には次のような効果があります。

  • だ液の分泌をうながし、歯垢が歯につきにくくする
  • 歯の表面を再石灰化する
  • ミュータンス菌の増殖を防ぐ

もちろんキシリトールを使っていれば虫歯にならないというものではありません。しかし、おやつの時間にキシリトールの入ったガムを食べれば糖分を摂取する量を減らすことができるでしょう。

Q

歯を一生懸命磨いても虫歯になるのはなぜ?

A
間食が多ければ、それだけ虫歯になりやすいお口の環境になっていると考えてください。アメを1つ食べるか食べないかでもお口の中の環境は変わってくるのです。虫歯菌をゼロにすることはできません。他にも、だ液のタイプや常在菌の種類など遺伝的な要素も関係しています。

歯周病について

Q

歯周病とはどういったものですか?

A
歯を支えているまわりの歯肉や歯槽骨が細菌によって侵され、破壊されていくという病気です。原因は、歯垢の中の細菌。しかし虫歯の原因菌とはまた違う「グラム陰性嫌気性桿菌」という菌で、代表的なものはポルフィロモナス・ジンジバリスです。
歯周病は、歯と歯肉の間から原因菌が侵入して炎症を起こします。少し赤くなり、出血もしやすい状態です。原因菌が増えてくると、歯と歯肉の隙間をどんどんと広げてゆき、奥のほうまで原因菌がたまりやすい状態になります。
歯垢の困ったところは、放っておくと石のように硬くなること。こうなっては歯科医院で専用の道具を使わないと取り除けません。
歯周病の原因菌は、さらに奥深くまで侵入。そして歯槽骨を破壊し、支えきれなくなった歯がグラグラしてしまうのです。
Q

歯周病が伝染するって本当?

A
研究によると、伝染します。
ヴァン・スティーンベルグ教授が1993年にある実験をしました。ポルフィロモナス・ジンジバリス(PG)という代表的な歯周病菌が夫婦間で伝染するか調べたのですが、結果伝染ってしまいました。つまり、夫婦のどちらかが歯周病に感染していればパートナーにも伝染するリスクがあるのです。
また、2001年5月のバルト海歯周病学会でも、「キスで歯周病は伝染するか?」という題で発表がありました。
Q

歯周病はどうやって予防できるのですか?

A
歯周病の原因は、歯と歯肉の間に入り込む細菌。その細菌の数を減らせば予防できます。そのために大切なのは、「正しい歯磨きの方法を覚えて、毎日お手入れすること」です。またどんなに手入れをしても歯石ができてしまうことから、定期的に歯科医院でクリーニングすることをおすすめします。
Q

マッサージで歯周病は良くなるの?

A
古くからこの2つの関係については研究されてきました。あらゆる研究結果が示すように、効果は期待できません。歯ブラシでマッサージしたら歯周病が治ったという人は、磨くときに歯垢が除去されていたというだけです。
Q

歯周病は遺伝的なものですか?

A
ミハエロビッチという研究者は、米国で12組の一卵性双生児の20年~40年後を調べ、それをデータにしました。このデータの興味深い点は、12組すべての双子たちが、生まれてすぐ両親の離婚などにより別々に育った人たちだという事です。
つまり、遺伝的には同じからだのつくりの2人が、食生活・ライフスタイル・環境の違いで20年~40年後どのように変わるのかがデータでわかるのです。では、歯周病に関してはどうだったでしょうか。
結果は驚くほどに同程度の状態でした。この結果から、歯周病は食生活や家庭環境よりも、遺伝的因子に大きく左右されることが推定されます。
Q

歯周病治療とはどのようなものですか?

A
歯と歯肉の間にある歯周ポケットの歯石や細菌を取り除く「スケーリング」、歯肉の深い部分の歯石を取り、歯根を滑らかにする「ルートプレーニング」という方法があります。また、超音波で細菌を除去する方法もあります。
虫歯の場合と異なり、歯周病は歯の表面の細菌が根の先に向かってどんどん侵入していきます。ですから、治療もスケーラーという小さな器具を使って、歯肉の上下のプラークを表面から根こそぎ削りとります。進行した歯周病では、歯肉を開いて細菌を除去してから歯肉を元に戻すという外科的な手術もあります。
細菌を取り除くことができたら、機能の回復と健康な状態が維持できるようメンテナンス治療をします。噛めるようにしたり、自分でお口のお手入れ(歯磨き)がしやすい環境づくりや、定期的なクリーニングを行ったりします。
Q

歯ブラシだけで大丈夫ですか?

A
基本的には歯ブラシだけでもかなりきれいにすることができます。ただし、一度でも歯周病にかかってしまうと注意が必要です。
歯周病を経験すると、たとえ治療して治っても歯肉が衰えているので隙間が開いてきます。こうした歯間の隙間は歯ブラシだけでは磨きにくく、歯垢がたまりやすくなっていることから、歯間ブラシなどを併用されることをおすすめいたします。
Q

歯周病は治せるのですか?

A
歯周病の治療の目標は、細菌感染を除去して進行を止める事です。
最近では、感染によって失ってしまった組織を再生する事が可能になってきました。特殊な膜や、タンパク質を使用して手術を行うことで、組織を再生することができるようになりました。
しかし治療のなかで最も大切な点は、再発を防ぎ、健康な状態を維持していくことです。そのためにも、一人ひとりにあったメンテナンスのプログラムを作り、定期的にクリーニングを続けていくことが重要でしょう。
Q

電動歯ブラシは効果があるの?手で磨くのとどちらがいいのですか?

A
電動歯ブラシは本来、手などにハンディキャップがある方のために開発されたものです。しかし、最近の電動歯ブラシは高性能です。当院院長も愛用しています。

インプラント治療について

Q

インプラント治療とはどのようなものですか?

A
インプラント治療とは、歯を失った部分の骨の中に、人工歯根(現在、純チタン製が一般的です)を埋めて、それを土台としてブリッジや被せ物を作るという治療方法です。1本の歯を失った患者さんから全ての歯を失った方まで幅広いタイプの症例に応用できます。
Q

インプラント手術はどのように行なわれるのですか?

A
現代のインプラント治療を確立したのは、ブローネマルク教授とそのチームです。彼らは、インプラントと人間のからだの間の生物学を科学的に研究し、からだに適した材質、デザイン、表面構造などを解明しました。さらに、成功するインプラントの治療法を確立したのです。
例えばインプラント治療では、骨にドリルで穴を開けますが、そのときの温度も重要です。高過ぎると周辺の細胞が変異してしまうため、42度以下に抑えること。さらには無菌状態で手術を行うことも重要です。
インプラントを成功させるためには、無菌的にコントロールされた手術室で行うことはもちろん、手術前にお口の中を徹底的にクリーニングすることも欠かせません。私はスウェーデンでインプラントの治療経験を積んできましたが、そのときに習得した治療を日本で行うには、インプラント治療の研究で確立された方法に厳格に従うことが大切であると確信しています。
とても大がかりな手術になるので、怖いと感じる方もいると思います。けれども痛みを抑える方法もありますし、大学から麻酔科医を派遣してもらって静脈内鎮静法を利用することもできます。静脈内沈静法は麻酔したこともほとんど覚えていないくらいのものですから、内科的な病気がある方だけでなく、とても不安を感じられる方にもおすすめです。
Q

インプラントはどのような患者さんに適しているのですか?

A
失った歯の代わりとしては、インプラントだけでなく入れ歯やブリッジという方法もありますが、特にインプラント治療が適しているのは、下顎で歯を失ったケースでしょう。
その理由は、下顎には舌があり、入れ歯では安定しにくいからです。さらにインプラントの成功率がほぼ100%に近いということもあります。
ブリッジを作るためには健康な隣の歯を削らなくてはならないため、失った歯が少なく隣の歯がきれいな状態であれば、特に治療がおすすめです。
また友人と旅行に行くときに、入れ歯を取り外すところを見せたくないという心理的な影響を考えてインプラントをすすめることもあります。スウェーデンの心理学者が調べたデータでは、総入れ歯の患者がインプラント治療を受けた後、社会的な自信を取り戻すことが、統計学的に有意に多いと報告されています。

歯列矯正について

Q

歯列矯正はどんな人が受けるべきですか?

A
いわゆる出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前)、乱ぐい歯(叢生) といった状態の方が矯正を行う必要があります。
Q

矯正中は家庭では何を注意するべきですか?

A
矯正中は器具を付けているので歯磨きがやりにくく、虫歯のリスクが高まります。そのため子どもの場合は、ちゃんと隅々まで磨けているかどうか、親が確認してあげることが重要です。
※矯正治療は時間がかかりますので、子どもさんのケースでは、親のサポートが欠かせません。
Q

歯並びが悪いと何が困るの?

A

次のようなリスクがあります。

  • 食べ物をよく噛めない
  • 磨き残しが生じやすく、虫歯になりやすい
  • プラークがたまりやすく、歯周病になりやすい
  • 見た目が悪い
  • 言葉が聞き取りにくくなる
  • コンプレックスなどが生じやすく、性格にも影響を与える可能性がある

その他

Q

歯は何本くらい喪失しても困らないの?

A
デンマークに、「歯は何本あれば支障がないか」という研究ばかりをしていたドクターがいました。(Shorten dental archというテーマです。)
彼の研究によると、20本の歯がバランスよく残っていれば「噛む能力」はすべて歯が生えている人と変わらないことが報告されています。他の歯医者さんでご存知の方がいれば、かなりオタクな方かもしれませんね。歯科医師会が推進している、8020運動(80歳で20本の歯を保つようにしようという運動)は、これが根拠ではないかと思います。
※実験に使用した食物はアーモンドです。面白いお話ですから、詳しく知りたい方は院長の古賀までお尋ねください。
Q

入れ歯がなかなか合わないのはなぜ?

A
入れ歯が合わない理由は、歯科医の技術力や技工物の品質だけでなく、患者さんのお口の中の状況によるものも少なくありません。歯を無くしてから時間が経っている。あごの骨がやせて、入れ歯を支える部分が減っている。歯をなくした部位が左右どちらかにかたよっている。このような場合は、条件が厳しくなります。
しかし入れ歯はたとえ安定性が悪くても、痛みがでることだけは避けなければなりません。
Q

歯を無くして放置したらどうなるの?

A
残りの歯が動いてしまいます。
例えば、下顎の奥歯がなくなったとしましょう。すると、上顎の歯が下顎の歯肉にあたるまで落ちてきます。そうなると、入れ歯などで修復するためのスペースがなくなるのですが、このような状態になるのに時間は1年かからないこともあるのです。歯を無くしたら、急いで治療を受けなければなりません。
Q

どの時点で歯科に通って治療を受け、歯を補完するべきですか?

A
急いで歯科医の診断を受けるべきですが、すぐに入れ歯やインプラント治療を行わず、数ヶ月間待つ場合もあります。抜歯した後の治癒に、歯肉のレベルで6週間程度、骨のレベルでは6ヶ月ほどの期間がかかるからです。
Q

インプラントで治療可能な人は限られているの?

A
インプラント治療の初期の頃は、歯をすべて失った人が対象でした。その後1980年代から部分的な歯の欠損にも応用されるようになり、今では1本の欠損から治療が可能です。
ただし、骨が存在することが前提条件です。顎の骨がない場合は(交通事故などで無くしたケースや、重度の歯周病で失った方など)骨造成といって、顎の骨を作る手術が必要な方も少ないながらいらっしゃいます。
また健康であることも大切です。抜歯程度の手術ですが、それに耐えられる健康状態がない方は、お持ちの病気の主治医との相談をしてからとなります。
Q

入れ歯やインプラントの手入れはどうするのですか?

A
入れ歯の手入れは原則的に食後にはずして掃除をしてもらいます。
市販の入れ歯洗浄剤を利用することもおすすめです。入れ歯のバネがかかるところや、入れ歯と自分の歯との境目の部分は特にプラークがつきやすく、虫歯や歯周病になりやすいので丁寧に磨きましょう。寝るときは必ずはずして、清潔な水の中に浸けておいてください。
インプラントは取り外ししないものなので、ご自身の歯と同じように磨けば十分です。特に歯肉との境目を清潔にすることが、大切なポイントだといえるでしょう。

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